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WBCは、原辰徳監督(50)率いる侍ジャパンが見事、連覇を果たして幕を閉じた。キューバ、米国、韓国などの強豪を次々、撃破した向こう側で、指揮官は何を考え、選手たちはどう動いたのか。スポーツ報知では、知られざるエピソードで栄光の舞台裏を明かす連載「侍V2 WBC激闘の真実」を5回掲載する。
最後のマウンドにいたのは、ダルビッシュだった。守護神、藤川の状態が万全ではないと判断し、準決勝からクローザーに指名した。原監督が信念を貫いた。「選手のコンディションを最優先する。短期決戦だけに、何が起こるかわからないんだから。状況次第では、先発投手が後ろに回る可能性だってある」そんなセリフを口にしたのは2月中旬だった。宮崎合宿が始まる直前から、あらゆる事態を想定して対策を練っていた。
打線も同じだった。韓国との決勝戦。4番には城島を入れ、7番には離脱した村田の代わりに緊急招集した栗原を初スタメンに抜てきした。過去2敗していた左腕、奉重根対策とはいえ、大一番で迷いなく動いた。「何にも驚くことはない。これがオレの野球。ふつうのことをしただけだ」準決勝で精彩を欠いた福留をスパッと先発から外した。4番にしても、稲葉、村田と対戦相手によって変えてきた。これも「想定内」だった。
日本代表監督に就任した当初、原監督の頭の中では「4番」は松井秀(ヤンキース)で決まっていた。「ゴジ(松井)が出場してくれれば、打線のど真ん中に置くつもりだ」しかし、けがで出場を断念せざるを得なくなり、本当の4番がいなくなった。ここで固定観念を捨てた。「クリーンアップ集中型の打線は、巨人のような単独チームなら必要だが、みんながその力を持つ代表では別」と長打力よりも確実性を重視し、まずは稲葉を抜てきした。稲葉は「つなぎの4番」と自らを評したが、指揮官の意図は違った。
イチローと青木が3番を打ったが、2人とも出塁率が高い左打者である。原監督が一番嫌ったのは併殺打である。進塁打や自己犠牲ができる稲葉はうってつけの存在だった。一、二塁間を破る安打を放てば、一気に一、三塁という好機も作ることができる。「4番・稲葉」の真実はそこにあった。
それでも、コンディションや対戦相手を見極めながら打順を変えていった。バリエーションは自然と増えていった。第2ラウンドから固定されたのは1番・イチローと3番・青木だけ。2月下旬のチーム結成時の「4番」と「クローザー」が変わった形で歓喜の瞬間を迎えた。侍ジャパンの象徴だった。世界一連覇は、原監督の柔軟性と危機管理能力がもたらしたといっていい。(特別取材班)
(2009年3月26日12時56分 スポーツ報知)
田中将大
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