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今回の檄は映画班。上半期の公開作を振り返ってみた。秀作、佳作について語る予定が、座談会は一転。米アカデミー賞受賞した「おくりびと」を除けば、出てくるのは話題倒れの珍品、失敗作の話が大半。毎年恒例の「蛇イチゴ賞」を決定するのはまだ早いので“蛇イチゴ賞候補”に注目してみました。
A「昨年12月から洋画、邦画合わせて200本以上の映画が公開されている。上半期はどんな印象を受けた?」
C「2月に『おくりびと』の米アカデミー賞外国語映画賞獲得以降、しばらくはこの映画一色だったね。このインパクトが強すぎて、これまで公開された作品は、全体的に物足りないね」
B「蛇イチゴ的なものはたくさんありますね。中でも『ヤッターマン』。厳しい前評判を覆し、子供から大人まで幅広く人気を得てヒットした。三池崇史監督が意図的に狙ったのか、そうでないのかは別として、おバカな要素が盛り込まれたのは良かったのでは」
E「深田恭子のドロンジョ様のセクシー衣装ばかりに話題が集中したね。演技にはしらけてしまった」
D「厳しいな~。僕は深キョンのはじけっぷりは評価するよ。ゴスロリ衣装の『下妻物語』に、今回といいこの際“コスプレ女優”をとことん極めてほしいな」
A「イケてなかったのは櫻井翔と福田沙紀では。2人のやり取りはまるで台本を読んでいる感じがしたよ」
C「人気アニメを実写化する三池監督のプレッシャーは半端じゃなかったと思う。原作のファンの思いもあるし、作品の世界観も大事にしないといけないし」
A「最近の『アニメの実写化』といえば洋画の『DRAGONBALL EVOLUTION』。見事に裏切ってくれた。映画化の発表は2002年だよ」
E「あれは本当にあり得ない。ファンを冒とくしている。しかも、続編をにおわせる終わり方。映画を楽しみにしていた原作・鳥山明さんの気持ちを考えるとかわいそう。日本漫画はやっぱり日本の監督に撮ってもらいたい」
B「そうそう! 今は新型インフルエンザが大変だけど、時代を“先取り”していた『感染列島』も忘れてもらっては困るな。作品レクチャーの08年1月の時点でパンデミックを連呼している関係者がいた」
C「今、公開予定だったら延期になっていたかな。でも、本当に観客全員マスク試写会とかやっていたけど、今は予防で本当にそうなりつつあるから怖いね」
A「脚本に疑問が残る。期待しただけに惜しい」
C「いや、ガッカリですよ。社会派のパニック映画なのに、強引に主人公のラブシーンに持っていきすぎ。感情移入できなかった」
B「ただ、脇では池脇千鶴は良かったし、カンニング竹山もいい味を出していたと思うよ」
E「『252生存者あり』も物足りなかった。最後の最後で裏切られた感じがした。あと少しで突風が吹き荒れるシーンで、兄弟のメロドラマが始まった」
B「見る側はハラハラドキドキして『そんな余裕ないだろ!』って突っ込んでしまう。そこまでが最高に良かっただけにね。役者の頑張りがもったいない」
A「オスカー監督の滝田洋二郎氏の最新作『釣りキチ三平』はどうだった?」
B「作品全体はホノボノしていて、よくできていた。でも、CG製のニセ物丸出しの巨大魚シーンは、違和感ありあり。監督は『漫画の世界観を伝えるために、そういう手法にした』と言っていたけどね」
D「CGといえば、まさに公開中の紀里谷和明監督『GOEMON』も外せないよ。前作『CASSHERN』同様、紀里谷ワールド全開。好き嫌いが大きく分かれるね」
B「ジャッキー・チェン主演『新宿インシデント』は竹中直人の演技が問題。出てくるシーンがコントに見えてしまう。ジャッキーがかわいそう」
A「外国人監督の作品では『昴』も、あまりいい話は聞かなかった。バレエ経験ゼロの黒木メイサが、主役の天才バレエダンサー役なんてそもそも無謀。猛特訓したとは思うけど、荷が重かった」
E「そういう意味では『プライド』も。満島ひかりの演技が吹っ切れてただけに、デビュー作のステファニーの芝居はひどくて見ていられなかった」
C「でも、ちょっと見応えのあった佳作にも触れようよ。木村祐一監督『ニセ札』は合格点。長編デビュー作としてはがんばっていたと思いますけど」
E「確かに。脚本がしっかりしていた。手堅くまとめていて、次回作が楽しみな監督ですね」
C「『少年メリケンサック』では、主演の宮崎あおいがぶっ飛び演技を披露していた」
B「NHK大河『篤姫』の対極をいくはじけっぷり。あの演技はさすが。何を演じてもうまいね。篤姫メンバーでは『大阪ハムレット』の松坂慶子の好演も印象に残ってる」
A「興行的に苦戦中の『鴨川ホルモー』は大学生の成長物語としてよくできてるよ。主演の山田孝之も芸達者ぶりを発揮しているし」
C「DVD化されておすすめなら、竹内結子と阿部寛出演の『ジェネラル・ルージュの凱旋』。2時間でよくまとまっていて感心した」
E「伊藤淳史の『フィッシュ・ストーリー』もイチオシ。両作ともに中村義洋監督。単館系も大作系も両方こなせる実力のある監督ですね」
B「12月からまだ5か月だけど、話してみると結構、次々に出てくるね」
A「前半は小粒な作品が多かっただけに、下半期への期待が高まるところ。どの作品が楽しみ?」
D「『ゼロの焦点』は松本清張の代表作の映画化だし、“オスカー女優”広末が主演。『おくりびと』効果で海外オファーもあると聞くし。ひと皮むけた演技を見てみたいな」
C「バンバン予告編を流している全編イタリアロケの『アマルフィ 女神の報酬』にも注目している。主演は織田裕二。天海祐希、佐藤浩市ら主役級の俳優を何人も投入。早く見たいです」
E「山崎豊子原作の『沈まぬ太陽』も。ずっと映像化は不可能だといわれていた。主人公の恩地元を渡辺謙がどう演じてくれるのか、“宿敵”行天四郎役の三浦友和との掛け合いも楽しみ」
B「6月には名カメラマン木村大作氏の初メガホン作『劔岳 点の記』も。映像に迫力がある」
A「後半もどんな名作、珍品が登場するのか楽しみ。中途半端な作品だけは勘弁してほしい」
(2009年5月8日15時26分 スポーツ報知)
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