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歌舞伎俳優・片岡仁左衛門(65)が一世一代で務めた「女殺油地獄」が27日、東京・東銀座の歌舞伎座「六月大歌舞伎」で千秋楽を迎えた。
孝夫時代の1964年から演じてきた仁左衛門の“当たり役”。最後の姿を目にした観客からは終演後も称賛の拍手が鳴りやまない。7分以上も続いた。「ほかのお役と違って、自分が育てた“与兵衛”という思い」と人一倍、愛着ある役だった。
近松門左衛門作の名作。道楽者の与兵衛が、借金を断られ、お吉を手にかける。自己中心の典型的な若者で、油まみれの殺害シーンは有名だ。この日を最後に“封印”することを決めても仁左衛門は、最後まで進化し続けた。
相手役のお吉を演じた長男・片岡孝太郎(41)と、より残忍さを見せようと、連日話し合いを重ねた。けいこ中に腰とひざを痛め、万全ではなかったが、そんなそぶりはみじんも見せなかった。「お客様の温かいご声援で動かしていただいた。そのお陰で(体調は)日に日に良くなってきた」と観客の後押しに感謝した。
「寂しい気持ちもあるが、ホッとした気持ち」と悔いなく、演じきった様子の仁左衛門。まだできる―。ファンの再演を望む声にも「そうしたら(一世一代が)“いかさま”になってしまう」と笑い飛ばした。
今後は後進に道を譲る。今回は孝太郎の長男・千之助(9)も出演し、親子3世代の共演が実現した。千之助は「18歳か19歳で与兵衛をやりたい」と宣言。仁左衛門の“当たり役”の継承を誓っていた。
◆女殺油地獄 近松の晩年の代表作のひとつ。もとは文楽(人形浄瑠璃)のために作られた。大阪天満の油屋の道楽息子、与兵衛が主人公。勘当された後も懲りず、遊ぶ金欲しさに同じ町内の油屋主人の美人妻お吉に無心するが冷たくあしらわれる。それでもあきらめきれない与兵衛は金を奪い、殺人を犯し、油と血にまみれながら逃げ去る。
(2009年6月28日06時02分 スポーツ報知)
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