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◆第86回東京箱根間往復大学駅伝競走・最終日(箱根駅伝=報知新聞社後援)(3日、神奈川・箱根町―東京・読売新聞社前、5区間109・9キロ) 東洋大・酒井俊幸監督(33)が、就任わずか9か月で箱根駅伝総合優勝を飾った。一昨年12月、部員(その後、退学退部)の不祥事の責任を取り、辞任した川嶋伸次前監督(43)が後継指名。勤務する母校・学法石川高(福島)の教員を辞職し、指導者に転身した。不本意な形でチームを去った前任者と、泣きながら送り出してくれた元教え子たちのために勝利を贈った。
217・9キロの長い道のりの先には、歓喜の胴上げが待っていた。「感謝の心のタスキリレーができました」。東洋大・酒井監督は涙で最高のフィナーレを迎えた。
青年監督の箱根ドラマは一昨年12月、一本の電話から突然、始まった。
「東洋大の監督を引き継いでもらいたい」
部員の不祥事のため引責辞任した川嶋前監督からだった。大学側の慰留を固辞した前任者は、その代わりに「競技指導だけではなく、人間教育をできるのは酒井しかいません」と責任と確信を持って後継者を推薦した。
突然のオファーに戸惑った。学法石川高の陸上部には自らが勧誘した生徒がおり、クラス担任も受け持っていた。「高校教師という仕事にやりがいを感じていましたが、純粋に、より高いレベルで競技指導したいという気持ちもありました」と振り返る。「先生、行かないでください」という署名運動もあったが、葛藤(かっとう)の末、新たな挑戦を決めた。
去年の3月末。最後の陸上部のミーティングと最後のクラスのホームルームで生徒に話した。「君たちが誇れる東洋大監督になる」。それから9か月、その約束を守った。前任者の期待にも応えた。戦いを終え、都内で行われた慰労会に顔を出した川嶋前監督は「私の判断に間違いはなかった。東洋大は本当に強くなった」と“タスキ”を託した酒井監督とがっちりと握手を交わした。
東洋大選手としては、箱根駅伝で負けて、負けて、負け続けた。だからこそ優勝の重みを知る。慰労会の最後、栄光のVメンバーと一緒にひな壇に上がった指揮官は強い口調で話した。「今回、走れなかった下級生に言いたい。今日、勝って分かったことがある。君らは箱根駅伝で走り、勝たなければならない」。酒井監督は、どん欲に常勝軍団を作り上げようとしている。
◆酒井 俊幸(さかい・としゆき)1976年5月23日、福島県生まれ。33歳。学法石川高から東洋大進学。箱根駅伝では1年3区11位、2年7区12位、3年1区13位、4年は故障で欠場。卒業後、コニカ(現コニカミノルタ)入社。2001年から03年までニューイヤー駅伝3連覇に貢献。05年に退社、学法石川高の社会科教諭に転身、陸上競技部の顧問を務める。昨年4月から東洋大監督に就任した。家族は妻・瑞穂さん(33)、長男・颯仁(はやと)君(2)、4月に第2子が誕生予定。
(2010年1月4日06時02分 スポーツ報知)
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